東華禅寺の華夏根源文化の旅③先祖の智慧の中から現代の「千金方」を探す

5月上旬、東華禅寺の方丈、万行法師が率いる一行は、中華民族の祖先の故郷である山西省運城の黄河金三角地帯から出発し、中華民族のルーツを探る旅をした。

彼らは黄河が「幾」の字を描くように湾曲する場所を辿り、大禹が残した足跡を踏みしめ、芮城の菊の里で修行の哲学を悟り、『千金薬方』の背後にある医薬の遺伝子を探求した。ルーツを探る人文の道の上で、万行法師の一行は、新時代において仏教の中国化がいかに進んだのかという方程式を解く道を深く探求した。

黄河大禹渡しが両岸を育み、古き文明の智慧を現代に響かせる

黄河大禹渡しは山西省芮城県に位置し、太行山脈と黄河に守られ、長い歴史を持つ中国文明における治水精神の証人となっている。1970年代に建設された大宇渡電気灌漑ステーションは、黄河からの取水による灌漑の先駆者となり、濁った黄河の水を清流に変え、28万6000ムーの農地を灌漑し、「黄河取水における先例」となった。生態系の修復により、水域面積は12平方キロメートル増加し、200種以上の渡り鳥が生息するようになり、「鳥類の国際空港」と呼ばれる生態系の防壁を築き上げた。

大禹の治水を見守ってきた千年の古木「龍頭神柏」の傍らから遠方を眺めると、大禹渡しの揚水工事はまさにその絶壁の下に位置している。万行法師は思わずこう感嘆した。「大禹渡しの澄んだ水の一滴一滴には、先祖が自然と対話してきた知恵が流れている。今回の現地視察を通して、中国文明が現代世界においていかに深く共鳴しているかを強く感じた。黄河の生命力を守ることは、何百万年にも及ぶ文明の壮大な物語を継承していくことと同じことなのだ」。

「菊」を通して自然に恩返し 生態文化と経済を結びつける

「菊の強靭さと蘭の気高さは、まさに中華文明の『養性』と『養神』の二重の隠喩である」。万行法師は芮城の菊の里を視察した際にこう感じたという。芮城の菊の栽培の歴史は唐代にまで遡るという。呂洞賓はかつて九峰山で菊を飲んで修行し、李商隠の「暗暗淡淡の紫」という詩句は、さらに文化的意味合いを与えた。北緯34度の恵まれた気候と黄河の生態系バリアに恵まれた芮城では、干し菊の年間生産量が現在6,000トンに達し、全国市場の15%のシェアを占めている。「企業+拠点+協同組合」モデルに基づき、菊の高度加工は茶飲料、化粧品などの分野にまで広がっている。芮城の菊の里は、「一輪の菊」で生態、文化、経済を結びつけ、黄河流域における農村観光の模範となっている。

それに呼応するように、東華禅寺が位置する広東省翁源県は、全国最大の国蘭の生産基地であり、「中国蘭の里」と称えられている。東華禅寺のチームは蘭の組織培養技術の革新に深く関わり、栽培業者の市場拡大を支援し、「生命を捧げる」禅の精神を産業振興に取り入れている。

万行法師は、芮城の菊が呂洞賓が飲んだお茶から、現代の健康増進商品や文化観光商品へと変容したことは、東華禅寺の「蘭を以て禅と為す」という修行哲学と通じている。つまり、いずれも自然の恵みを利用して人文精神を養うものだと語った。

亜宝薬業の「古の処方を今に用いる」は仏教中国化の「契機契理」の精神を体現している

黄河黄金三角地帯は、中条山の天然薬草資源に依存し、古代から伝統的な漢方医学文明発祥の地であった。万行法師一行は芮城亜宝薬業集団に移り、呂洞賓が薬草を採取して霊薬を精製したという伝説や唐代の『千金薬方』に記された処方箋を学び、この地の奥深い医学の遺伝子を確認した。

芮城の亜宝薬業グループは、中国医薬工業のトップ100企業として、伝統的な知恵と現代の科学技術を深く融合させている。その「丁桂児臍貼」は漢方薬の臍治療の先駆けとなり、「薏芽健脾凝膠」はフルーツピューレのような食感で子供向けの薬を革新した。20種類以上の子供向け医薬品が全国市場をカバーし、6つの生産ラインがFDAとEUの認証を通過し、製品は50カ国以上で販売されている。

亜宝薬業を訪問した後、万行法師はこう指摘した。「亜宝は『黄帝内経』の養生理念と子供の体質研究を組み合わせ、28種類の新製品を開発している。この『古の処方を今に用いる』という革新は、まさに仏教の中国化における『契機契理』の精神の現れである」。禅宗の道場として、東華禅寺は人間を基本とし、社会に人生を捧げ、人々の福祉を図ることを提唱している。東華禅寺は、仏教文化のサービスをしっかりと行うと同時に、人々の健康に奉仕する専門意識を強化し、専門の医薬機関の指導のもと、寺院で薬膳や健康増進の取り組みを展開していく。同時に、漢方薬草に関する知識を普及させ、野山にある薬草の鑑別を拡大し、それぞれの薬草や薬剤のエネルギー効果を十分に発揮させる。

(翻訳/古橋奈津子)

写真説明:

万行法師一行が芮城の菊の里を視察(李英菁撮影)

万行法師が亜宝薬業を視察(李英菁撮影)