
昨今の慌ただしい日々の中でも、家にいながらにして遠方の名勝を心ゆくまで巡ることができる。今日は、一緒に東華禅寺を巡る不思議な旅を始めよう。特徴的な牌坊を起点とし、東華禅寺の神秘的で魅惑的な門を開けてみよう。

広東省翁源に位置する東華禅寺の牌坊は、寺院の象徴的な建造物であり、その意義は大きい。それは、俗世と仏門という清浄な地の境界を明確に区切る、はっきりとした目印のようなものだ。人々が牌坊の前に来た時、それはまるで禅の心に満ちた別の世界に足を踏み入れるかのようである。この牌坊は五門六柱式の設計を採用しており、民間の寺院としては最高規格に当たる。その建築技術は精巧で、全体の造形は荘厳かつ雄大であり、彫刻の細部から構造の配置に至るまで、職人の仏教文化に対する敬意と、卓越した技術水準を余すところなく示している。
寺院の伝統によれば、客を迎え、見送る際には皆この牌坊を境界とする。この絶妙な礼儀の距離感は、寺院の温かいもてなしを示すと同時に、仏門の清らかで荘厳な雰囲気を保っている。牌坊をくぐると、目の前には二つの大きな道が現れる。左は「霊鷲大道」、右は「成仏大道」であり、二つの道は、異なる修行の道を静かに語りかけているかのようで、縁ある人々がその道を探索するのを待っている。

牌坊を通り抜け三門殿へと向かう道すがら、多くの探求すべき場所を通り過ぎる。弥勒大仏は胸をはだけて腹を出し、愛嬌のある笑顔を見せており、その姿は包容力と善い縁を広く結ぶという深い意味を内包している。周囲を囲む5人の子供たちは、五福臨門などの豊かな寓意を持っている。龍亀石碑には感動的な伝説が刻まれている。龍亀の献身的な精神は世界に知られ、背負った石碑には東華禅寺の歴史が記されている。また、河北の功徳主(くどくしゅ)が寄進した貴重な麒麟のつがいがある。これは瑞祥の象徴であり、人々が多方面にわたる優れた資質を身につけるべきであるという寓意を持つ。

今回の牌坊を起点にした東華禅寺を巡る旅では、入り口を少し味わったに過ぎないが、それでもその奥深い文化の基礎を感じ取ることができた。もしもあなたがこの静けさと知恵に憧れるならば、ぜひ時間を作って実際に訪れ、東華の建築が持つ趣を感じ、遥かな梵音に耳を傾け、自分自身の心の内なる修行の旅を始めてみてはいかがだろうか。
【出典】東華禅寺
翻訳/古橋奈津子