
東華禅寺の象徴である牌坊に足を踏み入れたとき、まるで俗世の喧騒を一瞬で通り抜け、禅の心に満ちた浄土へ歩み入ったかのようである。
牌坊を通り抜けると、東華禅寺ならではの特徴を持つ三門殿が目に飛び込んでくる。東華禅寺は伝統を打ち破り、天王殿の代わりに三門殿を設けている。かつて三門の開閉には厳格な規則があり、皇帝は中央の門を通り、家臣や随行者は両側の門を通った。東華禅寺は、この慣習を革新し、普段から中央の門を開け放った。すべての信徒を尊い人として扱い、敬意を余すところなく示している。これこそ東華の家風の表れでもある。三門のうち、「般若門」は智慧が開かれることを意味し、「解脱門」は修行後に解脱を得ることを象徴している。信徒はその間を通り抜けることで、心の洗礼を受けるのである。

三門殿を通り過ぎると、哼哈二将(うんがにしょう)を見ることができる。その威厳ある表情は菩薩の憤怒相を示しており、信徒に雑念を捨てさせ、心を浄化させることを目的としている。門の上にある「入三摩地」という文字は、人間と自然の一体化を意味し、伝統的な中国文化における人間と自然との調和の思想と融合して、仏教における深遠な禅定の境地と通じている。
さらに進むと、鐘鼓楼から響く晨鐘暮鼓(しんしょうぼこ/朝の鐘と夕べの太鼓)が聞こえてくる。それは毎日定時に鳴り響き、僧侶たちの清らかな生活の象徴であると同時に、人々に時の流れを知らせ、心を奮い立たせるよう促している。
三門殿から大雄宝殿へ向かう途中には、伽藍殿と地蔵殿がある。伽藍菩薩は仏法を守るため、奴僕の地位に甘んじ、無私の献身の精神を広めている。地蔵菩薩はすでに成仏しているにもかかわらず、衆生への深い慈悲ゆえに「地獄が空になるまでは仏にならない」という大きな誓いを立てた。彼らの精神は、信徒たちが慈悲を実践するよう鼓舞している。

東華禅寺は、至るところに奥深い文化と仏教の智慧を宿している。もしこの静けさと智慧に憧れるならば、ぜひ実際に足を運び、晨鐘暮鼓に耳を傾けてみてはいかがだろうか。
【出典】東華禅寺
翻訳/古橋奈津子