自在堂で「大いなる自在」を得る 探千年古剎修行秘境

千年の古刹-東華禅寺には、静謐で荘厳な禅堂、自在堂が隠されている。今日は、この修行の智慧に満ちた空間へ足を踏み入れ、道中繋がる三聖洞や霊鷲山などを訪ね、禅寺と山林の間に流れる法脈の伝承を感じてみよう。

自在堂は、またの名を「選仏堂」といい、東華禅寺の第七進殿堂であり、禅堂の一つである。仏道を学ぶ者は幾つもの殿堂の実修を通過して初めて、禅堂での実修の資格を得る。禅堂での実修に合格して殿を出た後、僧侶は「事」の上での悟りを得る、すなわち「大自在」を得る者となり、真に仏事と仏学を理解した僧侶となることができる。修習の順序通りに試験に合格した僧侶だけが、内と外とが一体となることができるのである。自在堂の門前には、万行法師が自ら筆を執って書いた対聯(ついれん)があり、禅の趣に満ちている。

西向きの対聯:喫茶過程見真心 棒喝聲中明祖意(喫茶の過程に真心を見、棒喝 (ぼうかつ)の音に祖師の意を悟る)

横書きの言葉:得大自在(大いなる自在を得る)

東向きの対聯:求佛求法是求非道 莫緊莫松亦莫停留(仏法を求めるは、道に非ず。焦りすぎず、気を緩めすぎず、また留まることもなかれ)

横書きの言葉:外に求むることなかれ

自在堂からさらに進むと、三聖洞にたどり着く。三聖洞は元々「慧能洞」という名で、伝説では六祖がここを訪れ、禅杖で洞の入り口を三度叩いたと伝えられている。万行法師がここで閉関修行中に禅の機微を悟り、慧能洞を三聖洞に改名した。『道德経』に「一は二を生じ、二は三を生じ、三は万物を生じる」とある。そのため「三聖洞」は、この洞が東華寺の源であり、また千百年の間に多くの修行を成し遂げた者たちの源であり、禅宗の法脈が長く続くことを象徴している。三聖洞のある獅子山は、遠くから見ると、空から突進してきて今にも襲いかかろうとする雄獅子のようだ。三聖洞はちょうど獅子の口の位置にあり、展望台はその顎のようである。さらに少し進むと、霊鷲山がある。仏陀がかつて説法を行ったインドの霊鷲山の霊気を受け継いでいるため、智薬禅師が霊鷲山と名付けたのである。山の麓に立って見上げると、山全体がまるで巨大な霊鷲が翼を広げて飛び立とうとしているようで、その間に千数百の小さな霊鷲が寄り添い、生き生きとした羅漢の像のようである。

【出典】東華禅寺

翻訳/古橋奈津子